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2010年度 講義レポート



 

1日目

入学式・オリエンテーション

  黄金色に輝く稲穂がいっぱいに広がる秋。一年で最も美しいこの時期、秋田大学地域アカデミーを開催しました。 
 秋晴れの青空が広がったこの日、全国から13名の受講生が、鉱業博物館に集まりました。入学式では吉村昇学長が、「秋田大学は現在、レアメタルを中心とした資源開発に力を入れております。地域アカデミーでは、秋田を満喫しながらこれら地下資源や秋田の文化など、様々なことを楽しみながら学んでください」と歓迎の挨拶を述べました。
 引き続いて行われたオリエンテーションでスケジュールを確認し、これから共に学習する「同級生」全員が自己紹介をしました。遠くは近畿地方から参加した受講生もいましたが、皆さん一様に「秋田で学びたい」との思いを語ってくれました。
 会場を移して、講義が始まり、5日間の地域アカデミーがスタートしました。

 

 

「講義1 秋田のことばに親しむ」 
 教育文化学部 佐藤 稔 教授

 秋田の方言について、発音や語彙の特徴を紹介しながら、講師による「秋田弁実演」も披露しました。共通語にはない秋田弁の微妙なニュアンスの使い分けなどを紹介し、方言によりどころを求めることは、ことばとその地域に価値を認め、文化を継承し、精神のよりどころとなる、と述べました。

 

 

 

「講義2 秋田の伝統食とその活用」 
 教育文化学部 池本 敦 准教授

  美食・秋田の食文化。きりたんぽやハタハタ、比内地鶏などがその代表とされますが、まだまだ全国的に知られていない豊かな食文化があります。それら伝統食を紹介するとともに、アケビやしょっつる(ハタハタで作った魚醤)を用い学生が試作したいくつかの料理を試食しながら、伝統素材を利用した新たな食品の地域ブランドつくりを提唱しました。

 

 

 

竿燈の演技

 1日目の講義を終え、会場を移して大学会館前広場で秋田大学竿燈会による竿燈妙技を披露しました。強風のため、継ぎ足すことができた竿はいつもより少なかったものの、間近で繰り広げられる迫力ある妙技にたくさんの拍手をいただき、演技終了後は半纏を着たり提灯を持ったりして記念撮影を楽しみました。

 

 

ウェルカムパーティー

 その後のウェルカムパーティーでは、先ほど講義を受けたばかりの秋田の伝統食をいくつも用意しました。大学生協手形食堂が県外の方に楽しんでいただきたいと、この日のためにメニューを考えてくれたものです。この秋収穫したばかりの新米で作ったきりたんぽ鍋は特に好評でした。

 

 

2日目

 2日目はあいにくの曇り空でしたが、受講生は朝の受付時間を待ちかねたように、講義室へ集まりました。今日は玉川温泉での宿泊もあり、いつもより荷物は多めです。

 

【講義3】秋田県の地震と地下を探る技術 
 工学資源学研究科 西谷 忠師 教授

 地震のメカニズムと近年の地震の被害規模、そして地下を調べる物理探査の手法について、豊富なデータを示しながら解説しました。近年の技術進歩により、地震予知や地下構造についてはかなり研究が進んでいますが、それは、研究者が自分の足で現地に赴き、地道に集めた膨大なデータがあってこその成果であると述べました。

 

 

【講義4】秋田の火山 ― その成り立ちと特徴―  
 工学資源学研究科 大場 司 准教授

 「秋田に火山はいくつあるのか?」という素朴な疑問から、鳥海山や秋田駒ケ岳といった代表的な活火山を例に、その成り立ちを探るための分析や古文書記録との比較から、火山がいつ頃できたのかを探りました。日本一深い湖:田沢湖の成り立ちでは、秋田に伝わる物語や他の湖との比較を交えて解説、数百万年前の時代に起きた火山活動が形成する自然や生物の進化について述べました。

 

 

【講義5】フィールドワークショップ ―玉川温泉の強酸性温泉水と北投石の起源を探る―Ⅰ       工学資源学研究科 石山 大三 教授

 玉川温泉とその付近の地下構造、地下資源について翌日のフィールドワークの事前学習という位置づけの講義です。講義後半には、「圧力の違いによる沸点の変化」を実験で示し、水の沸点である100度を超えても沸騰しない現象を観察しました。

 

 

 講義終了後、バスで玉川温泉へ向かいます。午後から雨が降り出し、宿泊先の「ぶなの森玉川温泉 湯治館そよ風」に到着した頃には、山間部ということもあり上着なしでは寒いくらいでした。
 玉川温泉は強酸性の湯が特徴で、宿の大浴場にも源泉100%の湯船の他に50%に薄めた湯船もあります。湯船に長時間つかると、傷口がピリピリと痛むほどです。
 温泉で体をあたため、地上波のテレビ電波が入らないほどの山間部にある宿でゆっくりとした時間を過ごしました。
 

 

 

3日目

 屋外での講義が続くこの日、心配していた雨もなんとかもちそうです。
 宿から車で5分ほど、地下から蒸気が立ち込める「大噴(おおぶけ)」と呼ばれる玉川温泉の中心部に到着。色づき始めた木々に囲まれたこの場所が、今日の一つ目のフィールドです。

 

【講義6】フィールドワークショップ ―玉川温泉の強酸性温泉水と北投石の起源を探る―Ⅱ  
 工学資源学研究科 石山 大三 教授

 野外観察路のあちこちで吹き出る蒸気。玉川温泉の泉質を確かめる観察をしている傍では、気に入った場所を見つけて横になり地熱で体を温める湯治客がたくさんいました。数メートルしか離れていない2か所の地点から湧き出る温泉水の成分が違うことを、化学反応で確かめました。

 

 

 玉川温泉を後に、角館へ向かいます。途中、玉川ダムのほとりで休憩。石山教授が持参したポスター展示用の資料で、ダムから川に流れる様子、水質の変化なども確認しました。

   1時間ほどで角館へ到着、田町武家屋敷通りのレストランで昼食をとり、午後の会場である樺細工伝承館へ移動しました。

 

 

【講義7】角館の歴史と城下町  
 かくのだて歴史案内人 戸沢 嗣郎

 角館の城下町が形成された歴史について、秋田を治めた佐竹氏を中心に解説。また、現在まで残る町割りの工夫や角館独自の文化について学びました。  その後、実際に武家屋敷通りを歩きながら、城下町としての特徴や武家屋敷での当時の生活の様子などを解説。当時の暮らしに想いをはせながら、江戸時代から現代までそのままに残る武家屋敷の散策を楽しみました。

 

 

4日目

【講義8】秋田から世界に発信:鉱物資源を探す技術 
 国際資源学教育研究センター 水田 敏夫 教授

 地中に眠る鉱物資源の分布や鉱石と鉱床、それらの探査方法について、これまでの歴史と現在の埋蔵量などについて解説。地下に眠る資源を探す最新の技術と、世界各地に分布するニッケル、銅など様々な地下資源をいかに探し出すか等について講義しました。

 

 

 

【講義9】資源リサイクルにおける選鉱・製錬技術の役割 
 国際資源学教育研究センター 高崎 康志 准教授

 近年注目を集める「非鉄金属」について、中国などからの輸入に頼らざるを得ない日本の現状と、リサイクルにより代替材料を開発する取組を紹介。選鉱・製錬技術についていくつか実験を交えながら解説し、化学反応で銀を取り出す実験などを観察しました。

 

 

【講義10】地中熱交換器方式の熱抽出特性 
 工学資源学研究科 田子 真 教授

 

季節によらず一定の温度を保つ地中熱について解説し、冷暖房や融雪への利用方法について、いくつかの地中熱交換器のシステムを紹介しました。

 

 

この日は3つの講義で終了。よく晴れた午後、千秋公園や美術館など、秋田市内を散策した受講生も多かったようです。

 

 

5日目

 最終日。この日が秋田滞在最後となる受講生もいらっしゃいました。

 

【講義11】鳥海山と国指定天然記念物「獅子ヶ鼻湿原」の自然 
 教育文化学部 井上 正鉄 教授

 秋田県と山形県の県境にあり、県民歌にも歌われるなど秋田県民に親しまれている名峰・鳥海山。その豊かな自然を形成する植生について、植物の分類方法等を交えながら解説しました。井上教授自らが撮影したいくつもの写真を示しながら鳥海山特有の植物群などを紹介しました。

 

 

【講義12】秋田に油田はなぜあるか?―風を吹かせて石油をつくる― 
 工学資源学研究科 佐藤 時幸 教授

 石油資源がどのようにできるのか、秋田県に油田が存在する理由は…?古代からの地球規模の環境変動や海流の変化が地球環境に及ぼす影響などを交え、秋田に石油根源岩が形成された過程を解説しました。

 

 

卒業式、さよならパーティー

 全12講義を終え、引き続き卒業式を行いました。
 5日間の講義を終えた受講生へは、對馬副学長からお一人ずつに「修了証書」をお渡ししました。
 その後会場を移しての「さよならパーティー」では、受講生全員がこの5日間の感想、秋田についての印象を話し、和やかな雰囲気のまま終了しました。

 

 

6日目 野外観察オプションツアー

 男鹿半島を巡る野外観察オプションツアーを、卒業式の翌日に行いました。心配されていた天気にも恵まれ、朝早くに大学を出発。まずは秋田市内の原油採集施設を見学しました。秋田市内には現在も稼働中の原油採集施設が数カ所あります。まずはその位置を確認して、男鹿半島へ向かいました。
 男鹿半島では、日本海ができた1800万年前から現在までの地層を観察することができます。途中、1000万年前の地質を観察できる鵜崎海岸では、ハンマーを手に「珪藻」の中から化石を探しました。
 その後、大規模な地層を観察できる生鼻岬を経て男鹿半島を一望できる寒風山の山頂駐車場へ。かつての噴火口を眺め、今眺めている景色がどのように形成されていったか、今日一日の観察を振り返りました。男鹿半島の地質を調べることで日本列島がどのように形成されていったのかを学ぶことができる、という言葉が印象的でした。